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2008年08月20日

源氏物語「朝顔の君」

源氏物語「朝顔の君」
源氏物語は、何度か全編読んでいるのだけれども
(谷崎、船橋、田辺)

先日のOLに人気のキャラクターが
「六条御息所」と「夕顔」であると聞いて・・
読まずに言ってるのか?
漫画などから?
時代が好むキャラ?
・・・・と納得ができなかった。

主語がなく、心模様ばかりを追うロマンスであるので
どの切り口も面白くて
生霊となって、般若の面のもとではないかといわれる
六条御息所を好もうが、個性なく、財力もなく
なよなよとしただけで、その生霊にとり殺される
夕顔を好もうが、それも文学の切り口だから・・・結構です。

今どきの女性の好みがこれとは・・・キッチュ。

ちょっとその事が気になって、
男性の源氏論も知りたく、渡辺淳一の「源氏に愛された女性たち」を
読みました。
瀬戸内や田辺の解釈とはまた違う結構ドライな
紫式部の解釈が展開されます。おとこ ですね。

しかし、花散里や朧月夜の君は印象に残っていましたが、
源氏の愛した群像の中に「朝顔の君」が描かれていたのは
すっかり忘れていました。

それが、面白いことに夕顔とはまったく正反対のキャラクターとして
描かれています。
匂宮と薫で、男性の動物性と精神性を書きわけた
紫式部のテクニックとしてはありうる設定です。
朝顔の君は光源氏を寄せ付けません
長い年月をかけていいより、その後見人も源氏を
ひきよせようと努力しますが・・
最後まで振ります。
脊もスラリとして財力も出もよく
(女性の家柄はこの物語ではとても大きな意味もつ)
はっきりとした視点をもつ若い姫君です。

渡辺淳一はこの源氏の恋が実らぬ
エピソードに源氏の年齢を解釈の一つとしています。
その遍歴や社会的地位が確立しすぎて、
姫君との距離ができすぎていた・・・と。
男性らしい解釈ではないかと思います。

夕顔と朝顔の性格を源氏物語を読んで
彼女たちを形容する名詞を並べてみると
その差がきわだつと思います。
理知と情痴と分けるのは
日本の文学を解釈するのに・・・無理があるかもしれません。
ギリシャの流れで行う解釈より、
斎宮となる体験などの宗教性から解釈したほうが
自然なようにも思います。。
読書からの発見を書いてみました。



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Posted by 諏訪 幸子  at 12:20 │Comments(0)

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