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2008年05月21日

アウト


桐野夏生のアウトを読んだ。
英語にも訳されていて、アメリカのポーの賞の候補になったそうだ。
はじめに「絶望」についてフラナリー・オコナーの一文が記されている。
作者のスタンスをこれほど顕すものはないかも。
アメリカの女流、またはフォークナーから発する南部の文学の
メインストリームの作家のものであるし、
もちろん、テーマから「暴力」を排する事はできない。



作品の中核は、低層の職場仲間の主婦が4人、ばらばら殺人を
完全犯罪として遂行する。
そして、その犯人と間違われるかっての殺人犯、佐竹。
メインキャラといえる雅子の信金時代の知り合いのチンピラ山田。
日系ブラジル人の労働者などがかかわる。

高校時代、夏休みの宿題などで、
小説を読まされた時、
興味のない作品でも読んで、あらすじを書いて
「高得点」をとるためには、
後書きを読んで・・・その中のポイントを2つくらい
分析として添えて、感想としてどの場面に共感したかを書いた。
それでまぁ、高得点。
なぜなら先生は多分、その本の後書きなど
時にその作品も「読んでいない!」

さて、この本の後書きでは、
今の日本社会にある
階級分類を切り口として上げている。
上、中、下、
金、学歴、性、それらの各々の
下流が描かれていて、
それからのアウト。
その分類からものアウト。

江戸期の日本の士農工商を
英語で言うとカーストという言葉を
使って訳す事が私は多い。
京町屋という江戸期の商人の住まいに
興味をもって店の営業をしているせいもある。

その階級分類からもアウトとなってゆく
人物群像が本当に面白いミステリー作品として
この2冊の上下に収まっていた。

暗さが平気なアナタにはお勧め。





タグ :読書

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Posted by 諏訪 幸子  at 10:09 │Comments(0)

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