京つう

ゲストブログ  |京都府南部

新規登録ログインヘルプ



2010年06月11日

平穏死のすすめを読んで

平穏死のすすめを読んで
講談社から今年の2月に出た新しい本。
石飛幸三氏の著だが、大病院の血管外科医が
勤務医を退いた後、特養の医師となっての著作。

私事ではあるが、
私の母が、介護5になって6年近くの歳月が流れる。
夫婦でケアマネジャーの資格を持つ友人が、
介護3以上の人を自宅でみるのは、無理ではないか?
とアドバイスしてくれた。
母、今も元気に介護5の生活を自宅で
過している。

私が、自宅で、看とるのは母で3人目。
(看とるといっても母は今のところ元気)

理由は、

人は、自分の家で看とられるのが一番自然ではないかと
誰もが感じている。

私が、家でも看とった3人は、
私の祖母、私の父
母を含め80代半ばの高齢であって
病院で、治療できる病気をまぁ持っていなかった。

この本を今回読んで、
大変、励まされた思いが強い。

老化は病気ではない。
「生まれるのも」「死ぬのも」
大変なイベントではあるが、病気ではない。

できるだけ、自然に過ごさせたいと
思って、自宅でも介護をありとあらゆる
職種の方にかかわっていただいて
続けている。

父を看とった時も、
体調の急変で病院で検査を
受けた。
原因がわからず、衰弱をとめられなかった時、
主治医からは、高栄養点滴をすすめられた。
血管からの点滴で、ベットから動けない状態の父は
「帰りたい」と言ったし、
実は、父との間で、高齢での手術はしたくない
との意思確認はしっかりと交わしていた。
栄養をつけて、検査をして原因解明をしたい・・・
と主治医の説明。
高栄養点滴は、血管からは無理で、直接
胃へとの説明。

「要りません。連れてかえります。」と
答えるのには、とても勇気がいった。

父が少し認知症が出ていたものの、
検査はもう嫌と意思表示したこともあって、
娘の「私」が我儘を通すといった
形で連れて帰った。
それから、3か月で食事がはいらず
その日の朝まで、自分でひげをそって、
いつもなら新聞を読むところを
しんどい・・・
といって、朝から珍しくベッドに
横になって、母と私に看取られて
私の顔を見ながら亡くなった。

もしかして、小腸に腫瘍が隠れていて
検査でわからなかったかも・・
と医療関係についている身内のものは
思っているようだけれども・・・・
MRIやその他の検査でどうしても解らなかった。
平均寿命を超えてしばらくたっていた
父にとって、やはり安らかで良い最後だったと
思っている。

この本を読んで、父の事を思い出した。
そして、今元気に老化がすすむ母の事を
考えなおしている。

今、医療は進んでいて、
胃に穴を開けて、栄養を入れ、
腕に点滴で水分を入れ、
人工呼吸をすれば・・・・
とんでもない・・・生が続く。
良く生きて、良く死にたいと私は思う。
不燃焼な生も不燃焼な死もともに私は怖い。

口から食べられなくなったら、それまでが
自分の生であったと思えばいいと
この本は教えてくれる。

医療従事者が皆思っている、
老化は病気ではないことをしっかりと
確認して、
母の看とりを続けてゆきたいと
思った本だった。

是非、読んでください。

タグ :介護

同じカテゴリー()の記事画像
読書の秋
ティファニーで朝食を@村上春樹
スタップ細胞事件
ドナルド・キーン氏のこと
夏の本
今日の本
同じカテゴリー()の記事
 読書の秋 (2019-11-24 15:21)
 ティファニーで朝食を@村上春樹 (2015-09-30 20:40)
 スタップ細胞事件 (2015-02-15 21:16)
 佐藤優の紳士協定 (2014-12-15 22:15)
 ドナルド・キーン氏のこと (2014-07-26 09:34)
 夏の本 (2014-06-25 16:44)

Posted by 諏訪 幸子  at 23:03 │Comments(3)

この記事へのコメント
がんばっていらっしゃいますね。

うちの義母も介護度5、介護生活も七年を超えました。
歩行はできませんし、指もドンドン変形してきていますが、折り紙を楽しみ、ディサービスでは競技に参加し、元気です。

ケアマネは、義母が満88才ということから、寝て体を休ませることを中心に考えられていますが、私は、楽しんでもらう方向で組み立てています。

読んでみたいと思います。
Posted by tao at 2010年06月11日 23:56
tao様、コメント有り難うございます。
私の母と同い年でらっしゃいます。

寝ても老化は治りませんよね。
この本はケアマネさんに読んでいただきたい
本ですね。

自分の老後を組み立てる上でも
読んでおかれたらきっと参考になります。
Posted by 諏訪 幸子諏訪 幸子 at 2010年06月12日 08:53
母の最期も記したい
Posted by 諏訪 幸子諏訪 幸子 at 2012年03月28日 23:32
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。