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2015年02月15日

スタップ細胞事件

読みました。
ここ半年ほどで、一番、印象深かった本。
毎日新聞の科学環境部の須田桃子さんという記者の作品。

去年一年、目が離せなかった事件は何かと問われたら、
スタップ細胞の理研の事件です。

それを追った記者の取材の表裏をまとめたものが
本として年末に出た。

小保方さんは、見たとたん違和感があった。

女性の中に、「何を根拠に・・」と思える自信を
もっている人が300人に一人くらいいる。
客観的に見てどうしても信じられないのだけれど
本人は、根拠なく、自分は完璧と思っている。
不思議だな~と若いころ、思っていた。
そういった人と同じ匂いが理研の
小保方さんという研究者にはあった。


短いスカートに割烹着、その怪しさに
「おかしい!」と言いたかったが、
そう言わせない何かがあった。
いい年をした私がそういったら、
「かわいいウサギ」をいじめているような
嫌な感じになるだろうと思ってしまった。

美人ではないが、徹底的に手入れされた髪。
エクステ?らしいまつ毛。
化粧も美容室の手が入っている。

おしゃれは大切だと私も、思っているが、
大き目のコンタクトをして顕微鏡は無理では
ないだろうか?
コンタクトをしたことのない私にはわからないけど。

とりあえず、強烈な違和感があった。

あっという間に疑惑がすすみ・・・
若山教授が理研から遠い大学に出て、
距離を離れた彼から、論文撤回の
話が進みだした。

この疑惑は、本を読むと、学生時代からの
彼女の癖のようなものだった事がわかる。
ごまかして、コピペを平気でして・・・
早稲田でも博士論文の最初の
20ページが、アメリカの衛生研究所の文章が
そのままコピペされていた。
ネィティブの教授なら英語の語調が
一定でないことからコピペはすぐ見破る。
日本人教授には・・・難しいかもしれない。

多くの画像もなんとパワポからのコピペ・・・・・
私立の大学のマスター論文でも
プロの指導教官なら見破って訂正させられる。

彼女があちこちの研究所を渡り歩きながら、
いい加減に論文作成を1人でしてきた
様子がうかがえる。
責任者も指導者もいない。

その道をつきすすんできた彼女の
モチベーションは、強い自己愛。
自分への過剰な高評価。
そう考えれば、あの不自然なおしゃれにも
納得がいく。

彼女の着ていた、イギリスの洋服はどういった系統なのかは
よくわからないが、ゴシックとロリータのラインでは
ないかと思う。
文学的に解釈すれば、魔女の衣装。
聖魔女 というカテゴリーがあれば、それ。
それに導かれて、事件は大変グロテスクな結果となったように
思う。
基礎研究という予算がとりにくい分野を
どのようにして守り育てるかという事が裏目に
出た事件だとも思う。若い期間限定の研究者の
自分へのポストへの執着が見える。

クローンに詳しい某弟に6月ごろ聞いた時、
ああいった技術はたぶんに「コツ」のいるものではある。
11月くらいまで、毎日 本人が作業すれば、出来る。
・・・・と言っていた。論文がねつ造だとは
思っていなかった。研究者に警察的視点はない。

結果としてできなかった。
それは、やはりスタップ細胞はなかったという事になる。
ES細胞を持ってきて間に合わせたという事実が浮かぶ。
悪質なねつ造。間に合わせ。

博士論文作成時、コピペで20ページ書いた時、
誰かが、厳しく注意してすべて最初から書き直させなければ
ならなかったのが、指導者不在で、ここまで来てしまった。

某弟の英国時代の研究仲間のKは、クローン羊ドリーを
作った人で、数年前に自殺した。
研究者としてあれだけの業績を残しながら・・・
研究の道はとんでもなくコンペティテイブで、きつい。
狭い世界で、厳しい。
華やかなものとは、ほど遠い。
研究者はみな、もっともっと褒めてほしいと思っている。

今をときめく、IPSも、まだたった一人の人の
命も救った事はない。
やっと「目」で実用化をむかえようとしている。
それも、理研での研究成果だった。

笹井さんがなくなってから、
彼の業績の何かが賞をとった。
なっくなったからではなく、実力。
競争に強い人だったのだろう。
競争向きの人だったことが裏目に出た。

ここ一番の勝負が、スタップ細胞だったのだろう。
その勝負のバネは、
魔女の自己愛。その磁場。

同じ建物では、魔女の結界から
でることができないままの死と
文学的解釈をした。
理研の建物での自殺だった。

笹井さんを高く評価していた
筆者の涙の味も本の読後感に混じる。
是非、読んでください。
フィクションより文学的なノンフィクションでした。


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Posted by 諏訪 幸子  at 21:16 │Comments(4)

この記事へのコメント
拝読致しました。 ご高察に頷く事しきりです。 よくこの様な奇天烈な事を世間に問うたり、臆面もなく発表したものだと思います。何処のどの様な世界でもその道の作法やしきたりが有ろうと思うのですが、賭場荒らしの様な頭の中の輩なのでしょうね・・
珠に硬派なブログを発見しますと嬉しくて、その方の自己紹介欄まで目を通してしまいますが、ご主人が一人おいでになるとは、最後が一番面白かったです・・
Posted by 旅の途中旅の途中 at 2015年02月16日 11:43
旅の途中様、
コメント頂戴して、ありがとうございます。
あまり、癖のある事は書かないように・・・と
気を付けております。
しかし・・・つい。
長く生きていると、不思議なことがたくさんです。
不思議なことも、ちょっと自分なりの
解釈ができるようになりました。
また、お立ちよりくださいませ。
Posted by 諏訪 幸子諏訪 幸子 at 2015年02月16日 22:45
自分が、理系でおしゃれには無縁の地味な人間だったので、彼女を初めて見た時から何とも違和感がありました。こんなんでやれたら、人生苦もなく、面白いだろうと思いました。今でも、彼女のファンはいっぱいいるようで、理解し難い、と感じます。(50代の元リケジョおばさん)。
Posted by 梅 at 2015年06月21日 22:43
梅様、コメントありがとうございます。
日本人は、新茶や初鰹が大好きですよね。
毎年のNHKの連続ドラマも
フレッシュな新人女優応援企画です。
ある種の義経びいきに通じます。
Posted by 諏訪 幸子諏訪 幸子 at 2015年06月23日 07:13
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